デジタル時代の到来とともに、年始の挨拶方法も変化しています。
従来のはがきに代わり、メールやソーシャルメディアを利用した年賀状が増加しているのです。
このトレンドは、個人間だけでなく、企業間のコミュニケーションにも影響を及ぼしており、多くの企業が伝統的な年賀はがきからデジタルメッセージへと移行しています。
年賀状の本質は、過去一年間の感謝を伝え、新年の幸福を祈ることです。
そのため、はがきという形式に固執する必要はありません。
この記事では、メールで年賀状を送る際に知っておくべき基本的な知識やマナー、特に件名や文面の作成に関するポイントを紹介します。
メールでの年賀状送信のための知識とマナー
インターネット上でのコミュニケーションが日常化する中で、多くの人々が従来のはがきによる年賀状送信からメールへと移行しています。
しかし、この変化はまだ完全に一般化しているわけではなく、メールで年賀状を送る際は、相手との関係性や距離感を考慮し、無礼にならないよう注意が必要です。
特にビジネス関係では、相手企業の年賀状文化を理解し、メールの他に従来のはがきも用意するなど、柔軟な対応が求められます。
デジタル年賀状送信の4つのエチケット
年末年始は忙しい時期で、その中で年賀状のメール交換が行われます。
ここでは、その際に意識すべき4つのエチケットを解説します。
メール件名の明確化
年賀のメールであることを件名で明確にしましょう。
特にビジネスシーンでは、新年早々に受信するメールが多いため、件名から送信元とメッセージの性質が理解できるようにすることが重要です。
迷惑メールとの混同を避けるためにも、内容がすぐに分かるような件名を心がけましょう。
■例示的な年賀メール件名
「名前・あけましておめでとうございます」
「社名・新年のご挨拶」
「社名・年末の感謝と休業日のお知らせ」
宛名を入れた個別送信
一括送信ツールやBCCでの一斉送信は、受け取る側に無機質な印象を与えます。
ビジネスメールでは特に、相手の社名、部署、役職、名前を明記し、年内の感謝を表す一文を加えるなど、個別の配慮を示しましょう。
ファイル添付の回避
多忙な時期にファイル添付のある年賀状メールは、相手に余計な手間をかけることになります。
また、リンクをクリックしてグリーティングカードを閲覧させるスタイルも避けるべきです。
相手の時間や手間を考慮し、できるだけシンプルな形式を選びましょう。
機種依存文字の使用を避ける
丸付き数字などの機種依存文字は、相手のデバイスによっては正しく表示されないことがあります。
文章が正確に伝わらないリスクを避けるためにも、これらの文字の使用は控えましょう。
年賀状メールだけでなく、他の全てのメールでの機種依存文字の使用も避けることが望ましいです。
デジタル年賀状の有利な点
メールを利用した年賀状には、従来のはがき形式に比べて数多くの利点があります。
これには、デザインの準備、印刷、宛名の管理、そして投函に関わる時間やコストを大幅に節約できる点が含まれます。
企業間でのコミュニケーションでは、多くのメールシステムに備わっている予約配信機能を利用することで、相手の仕事初めに合わせてタイムリーな挨拶を送ることができます。
また、紙の年賀状と違い、メールでは文章の長さや画像の種類に制限がないため、デザインの自由度が格段に高まります。
HTMLメールや無料のテンプレートを使って、オリジナリティ溢れる年賀状を作成することが可能です。
さらに、メール配信ツールを活用することで顧客管理を行い、開封率やメール内のリンクからの訪問率など、年賀状の効果を測定することもできます。
これにより、ビジネスにおいて年賀状の活用がさらに進むでしょう。
従来のはがき形式のメリットとメールでの年賀状の懸念点
メールで年賀状を送る方法には、いくつかの潜在的なデメリットが存在します。
その一つが、メールサーバーの混雑です。
特に年末年始は多くのメールがやり取りされるため、サーバーが混雑し、送信エラーが発生するリスクがあります。
更に、受信者が大量のメールを一度に受け取る際、年賀状メールが他のメールの中で見落とされる可能性もあります。
これは、実際に手に取って確認するはがき形式の年賀状には起こりにくい問題です。
また、デジタル年賀状はまだ広く一般化されておらず、受け取った側がメール形式の年賀状を軽視されたと感じる可能性もあります。
これは、特にビジネスシーンや年配の方々とのやり取りで注意が必要な点です。
年末年始に役立つ!メール形式の年賀状例文集
年末年始には、ビジネスシーンでも個人的な場面でも、メールでの挨拶が一般的です。
文体は、送る相手や関係性に応じて変更することが重要です。
取引先へのメールでは特に、関係性を考慮して適切に表現しましょう。
メール形式の年賀状 文例 年末の挨拶
年末の挨拶メールでは、以下の3つの要素が一般的です。
・「一年間の感謝」
・「新年の協力を期待する言葉」
・「相手に特化した個別のメッセージ」
典型的な文は、「今年一年大変お世話になりました」という感謝の挨拶で始め、「来年も引き続きのご協力をお願いします」や「良いお年をお過ごしください」で締めくくります。
相手との関係に応じて、「来年も変わらぬご支援をお願いします」など、より丁寧な言葉遣いを選ぶことが重要です。
親しい友人なら一年間の思い出を語る内容が適していますし、ビジネスメールでは一年間の取引に対する感謝を表現することが望ましいです。
メール形式の年賀状 文例 取引先へのメール
・親しい関係の場合
○○(役職名、敬称)
いつもお世話になっております。
○○の○○です。
今年も大変お世話になりました。様々な場面でご支援いただき、心から感謝しております。
特に○○の件でのご協力には深く感謝しております。
来年も変わらぬご協力をお願いいたします。
年始にお目にかかれることを楽しみにしております。
どうぞ良いお年を。
・ビジネスシーンでの丁寧なメール
○○(役職名、敬称)
拝啓、年末のご多忙の折、おかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。
○○様には今年一年、格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
今年一年のご協力に感謝し(以下、個別のメッセージ)
来年も○○社として、より良いサービスを提供できるよう努めますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。
新年も○○様にとって素晴らしい年となりますようお祈りいたします。
敬具
※年内の営業は12月○日まで、年始は1月○日からとなります。
メール形式の年賀状 文例 社内へのメール
・親しい同僚へ
本年も大変お世話になりました。
色々なことがありましたが、皆様の支えがあってこそ、無事一年を終えることができました。本当にありがとうございます。
来年も何卒よろしくお願いいたします。
元気に新年を迎えましょう。
どうぞ良いお年を。
・ビジネスシーンでの丁寧なメール
年の瀬も迫る中、今年一年のご支援に心から感謝申し上げます。
一年を振り返ると、皆様の温かいサポートに支えられたことに感謝の念が溢れます。
来年も皆様と共に頑張りますので、引き続きご支援のほどをお願い申し上げます。
新年が皆様にとって素晴らしいものとなることを願っております。
どうぞよいお年を。
・メール形式の年賀状 文例 英語でのメール
日本では新年が大きなイベントですが、西洋文化ではクリスマスが重要です。
簡潔に伝えることが好ましいです。
また、送るタイミングは相手の休暇明けなどに合わせると良いでしょう。
・親しい関係の場合
May 2021 bring you happiness and success.
(メリークリスマスと新年おめでとう!2021年があなたに幸せと成功をもたらしますように。)
・ビジネスシーンでの丁寧なメール
We are grateful for having clients like you and wish you a New Year as joyful and prosperous as you have made ours.
Warm regards for the holiday season and the New Year.
(昨年はご指導いただきありがとうございました。
あなたのようなクライアント様がいることに感謝し、皆様が私たちにもたらしてくださった喜びと繁栄と同様の新年をお迎えになられますよう願っております。
年末年始も温かくお過ごしください。)
新年の挨拶用メール文例
新年の挨拶メールは、以下のような流れで書かれることが一般的です。
感謝の言葉で始め、新しい年への期待や協力をお願いする言葉で結ぶ。
この際、「昨年は大変お世話になりました」や「昨年は格別のご支援を賜りました」など感謝の意を示し、「今年も引き続きよろしくお願いします」と締めるのが通例です。
新年の挨拶メールには以下の4つの要素を含めると良いでしょう
受け手や関係性に合わせて、賀詞の選択にも注意を払う必要があります。
目上の方には四文字の賀詞、親しい人や目下の方には二文字の賀詞を使用することが適切です。
丁寧な言葉遣いを心掛け、「今年も引き続きのご支援をお願いします」や「引き続きのご指導をお願いします」のような表現を取り入れましょう。
取引先へのメール例文
・親しい関係の場合
○○(役職名、敬称)
新年あけましておめでとうございます。
○○の○○です。
昨年中は様々な形でお世話になりました。おかげさまで新年を迎えることができ、感謝しております。
本年も引き続きご協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
新年の業務は○月○日より開始いたします。
令和○○年 元旦
・フォーマルな関係の場合
○○(役職名、敬称)
新春を迎え、心よりお祝い申し上げます。
○○の○○です。
昨年は格別のご愛顧を賜り、深く感謝しております。
本年も○○様にご満足いただけるよう努めますので、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
新年のご挨拶とさせていただきます。
令和○○年 元旦
社内向けメール例文
・親しい関係の場合
新年あけましておめでとうございます。
昨年はたくさんの支援をいただき、感謝しております。本年も皆様と共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
・フォーマルな関係の場合
新年あけましておめでとうございます。
昨年は多くのご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
今年も皆様と共に成長していきたいと思いますので、引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。
英文メールでの新年の挨拶例
キリスト教圏では、年賀状メールという習慣は一般的ではありません。
通常、新年の挨拶はメールの冒頭または結びに加える形をとります。
個人的なメールでもビジネスメールでも、新年の祝福を述べ、継続的な関係を望む内容が含まれます。
また、相手にとって良い年になることを願うメッセージも添えるのが一般的です。
メール冒頭の挨拶例
Wishing you a Happy New Year!
Looking forward to your continued support.
(新年あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。)
メール本文
通常のメールと同様に、相手へのメッセージを記入します。
メール結びの挨拶例
Hoping for a year filled with happiness and success.
(幸せと成功に満ちた一年でありますように。)
メールと年賀状を上手に使い分けて新年の挨拶を
年賀状メールは伝統的なはがきよりも新しい習慣ですが、環境意識、コスト削減、作成の手間を軽減する点など、さまざまな利点があります。
インターネットの普及に伴い、この習慣は今後も広がると予想されます。
新年の挨拶の形態がはがきからメールへと変化しても、相手への感謝や継続的な関係を望む気持ち、そして一年の幸福を祈る気持ちに変わりはありません。
適切なマナーを守り、互いに心地よい一年の始まりを迎えるための工夫が大切です。