現代の小学生は、以前の世代とは異なり、生後間もなくからスマートフォンやタブレットを介してインターネットの世界に触れ、デジタル環境に慣れ親しんで育っています。
これらのデジタルデバイスを早い段階から使いこなすことが一般的になっています。
SNSは、適切に使用すれば交流を深めるツールとして大変役立ちますが、誤った使い方をすると、予期せぬトラブルや犯罪に遭遇する可能性も否めません。
この記事では、SNSを巡る具体的なトラブル事例と、それらを防ぐために親が知っておくべき対応策について解説します。
小学生の間でのSNS利用、もはや珍しくない現象
スマートフォンの普及は年々加速しており、固定電話やPHSといった従来の通信手段をしのぐ勢いで増え続けています。
「令和2年度通信利用の傾向調査」によれば、6歳から12歳の子供たちのうち、約42.5%がスマートフォンを所有し、その中で約37.6%がSNSを活用していることが分かります。
スマートフォンやSNSを利用する理由は多岐にわたり、情報の検索や発信、作品の共有などが挙げられます。
特に、友人や知人とのやり取りを目的としたSNSの使用が多く、その割合は89.2%にものぼっています。
小学生のSNS使用と年齢規制の現状
スマートフォンやSNSを使う子どもたちは珍しくありませんが、多くのSNSプラットフォームには利用年齢の制限が設けられています。
各プラットフォームの利用推奨年齢は以下の通りです。
LINE | 12歳以上 |
13歳以上 | |
TikTok | 13歳以上 |
13歳以上 | |
13歳以上 |
これらの情報から、大多数のSNSが13歳以上を基準にしていることが分かります。
この年齢は一般的に中学生に相当します。
特に最近数年の間に設けられた年齢制限のあるサービスもあるため、小学生がSNSを使用している場合は、登録手続きがどのように行われたのかを検証する必要があります。
また、年齢制限の規定を「知らなかった」という理由で済ませず、親子でサービスの利用規約をしっかりと確認し、理解することも重要です。
小学生が経験するSNSによるトラブルの具体例
警察庁が発表した「令和2年度少年の非行や児童虐待、性犯罪の実態」によると、SNSが原因でトラブルに巻き込まれた子供は1,819人に上ることが明らかになりました。
以下では、具体的なトラブル事例をいくつか紹介します。
ネット上でのいじめ
親が自分のスマートフォンだけを使わせている場合でも、子どもがオンライン上でいじめに遭遇するリスクはゼロではありません。
親がメッセージアプリやその他のSNSを通じて子どもとのコミュニケーションを取らせていても、その内容を常にチェックするわけではないため、いじめのサインを見逃してしまうことがあります。
例えば、ある日子どもの行動がおかしいと感じ、確認してみたら、いじめや嫌がらせのメッセージが送られていたケースがあります。
グループからの排除
実生活での出来事がきっかけで、SNS上で友達グループから排除されることもあります。
友達グループにはしばしば、実際の生活で影響力を持つ「リーダー」がいます。
そのリーダーが誰かをいじめたり、悪口を言ったりする現場を目撃し、それを止めようとした子が、SNS上のグループチャットで仲間外れにされる事例も報告されています。
子どもによる無断課金問題
スマートフォンゲームでの課金が必要な場面は珍しくなく、子どもたちが親の許可なく課金する事例が増えています。
親のクレジットカードを無断で使用し、ゲームでの購入を行うケースや、家族で共有しているメールアドレスからアクセスされる決済情報を利用して、知らないうちに課金が行われてしまうことがあります。
これらの問題は、クレジットカードの使用方法やアプリ内課金のプロセスを子どもが十分に理解していないことに起因していると思われます。
小学生の子を持つ親が実施すべきSNS使用対策
小学生のお子さんを持つ保護者にとって、SNSでの安全対策は非常に重要です。
ここでは、親が取り組むべきいくつかの対策をご紹介します。
利用可能な時間帯を設定する
子どもたちがSNSにどれだけの時間を費やすかを管理するため、まず家庭内でルールを定めることが大切です。
たとえば、「夕食後はスマートフォンを使わない」「一日の使用は〇時から〇時まで」といった具体的な時間の枠組みを設けることができます。
また、「食事中にはデバイスをテーブルに置かない」といったルールも効果的です。
これらの規則を設けることにより、子どもが夜遅くまで画面にかじりついて睡眠不足になるのを防ぎ、家族内でのコミュニケーションの機会も増やすことができます。
さらに、フィルタリング機能を活用して、デバイスの使用可能な時間帯を具体的に設定することも可能です。
デバイスの私室持ち込み禁止
スマートフォンの使用時間に関するルールを設定した後、使用が許可される場所についてもルールを定めると良いでしょう。
子どもの私室へのスマートフォンの持ち込みを禁止することは、一つの有効な対策です。
自室での使用を許可してしまうと、子どもがどのようにデバイスを使用しているかを保護者が把握することが難しくなります。
保護者の視界内、つまりリビングなどの共用スペースでのみデバイスの使用を許可することで、子どもが不適切なコミュニケーションを取るリスクを減らし、安全なインターネット使用を促すことが可能になります。
ペアレンタルコントロールとフィルタリング機能の利用
小学生など年齢が低い子供がスマートフォンを使用する際には、デバイスの管理を子供に一任するのは適切ではありません。
これは子供を信頼しているかどうかという問題ではなく、安全対策として保護者が使用状況を把握しておくべきだということです。
スマートフォンにはフィルタリング機能が備わっており、これはペアレンタルコントロールの一環として機能します。
この機能を使えば、使用時間の制限、GPSの使用管理、不適切なサイトへのアクセス制限などが可能になります。
法律により、18歳未満の子供が使用するスマートフォンにはフィルタリング機能が必須であるため、この機能は初期設定で有効になっています。
フィルタリングを解除する必要がある場合は、保護者が明示的に手続きを行う必要があり、子供自身では解除することができません。
保護者自身もSNSを理解する
保護者がSNSの使用経験がなければ、お子さんがオンラインで遭遇する可能性のあるトラブルの種類やそれに対する対策を把握することは難しいかもしれません。
お子さんが使用するSNSの機能やそれに伴うリスクを理解するためにも、保護者はそのSNSをある程度使いこなせるようになる必要があります。
SNSの基本的な使い方、潜在的な危険性、個人情報の扱い方など、知っておくべきことは多岐にわたります。
また、お子さんにSNSを安全に使わせるためには、最初から自由に使わせるのではなく、適切な使用方法を指導することが重要です。
例えば、お子さんがLINEを使用する場合、最初は家族内でのメッセージ交換から始めて、適切なオンラインコミュニケーションの方法を学ばせることができます。
SNSのプライバシー設定は保護者が管理し、お子さんによる勝手な変更を防ぐことも、トラブルを未然に防ぐための一手段です。
お子さんのアカウントは保護者が常に監視できるように設定し、そのことをお子さんに伝えておくと、不適切な使用を防ぐことができます。
SNS利用時の禁止行為を明確にする
お子さんがSNSを使用する際には、事前にSNSでの禁止事項や不適切な行動が引き起こす問題点をしっかりと教えることが重要です。
「安心ネットづくり促進協議会」では、保護者が子供に伝えるべき家庭内ルールの例を提供しています。
これには小学生を対象とした具体的なアドバイスも含まれており、保護者と子供が一緒に確認するのに適しています。
このような資料を参照しながら、家庭でのSNSの使用規則を設け、定期的に見直しを行うことで、SNS関連のトラブルを事前に防ぐことが可能になります。
まとめ
この記事を通じて、小学生の保護者の皆様に向けて、お子さんが直面する可能性のあるSNSの問題点と、それらに対する効果的な解決策をお届けしました。
デジタル技術の発展は、私たちの日常生活に多大な利便性をもたらしていますが、それと同時に、新たな課題やリスクも引き起こしています。
特に、若年層がこれらのテクノロジーをどのように利用するかは、保護者の皆様にとって重要な関心事であるべきです。
この記事を通して、SNSの安全な使用方法に関する理解を深め、お子さんをオンライン上のリスクから守るための具体的な行動を促すことができれば幸いです。
インターネットとSNSが提供する無限の可能性をフルに活用するためには、適切な知識と対策が不可欠です。
保護者の皆様が、お子さんと共に健全なデジタル環境を築くための一助となれば、この上ない喜びです。
最後に、この記事が、保護者とお子さんが共に成長し、デジタル社会での健全なコミュニケーションを築くためのスタートラインとなることを願っています。
お子さんが安全に、そして楽しくインターネットを利用するために、保護者の皆様の積極的な関与とサポートがこれからも重要です。